国づくり政策の実施主体たる国家公務員が置かれる職場環境の改善について

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国づくり政策の実施主体たる国家公務員が置かれる職場環境の改善について

第1 概要
 国づくりにあたり必要となる国家形成の解像度を歴史及び世界基準値から学び、そこから押さえた優先順位を踏まえた施策を組み立てた。これにより、資源に乏しいにも関わらず、他国が注力してきた国際競争力を備えるための長期的投資を十分に行わなかったために陥った現状を冷静に受け止めることが可能となり、また、その上で知恵ある人材を創出する「人づくり」投資を企画立案するところまで至った。

 しかしながら、肝心の政策の実施主体たる政府、具体的にいえば「国家公務員」は過労死等問題を抱えており、施策完遂に耐え得る態勢整備が不十分である。

よって、本文では現状の態勢を説明した後、関連する数値を複数の角度から考察・検証し、課題を浮き彫りにする。その後、課題と目的(本件の場合、予算管理(教育国債等)・国防・食料自給率・技術投資等の自立及び給料が上げる経済の実現)の2点間を捉えた解決策を提案する。

第2 本文
1 労働者全般における過労死等状況
  まず、我が国の労働状況を理解する。
厚生労働省発刊「過労死等白書」より、概要説明する。
⑴ 労働相談の内訳
トップは「いじめ」。悩むが人間関係であることに一定の納得感はある。しかし、人間関係の話であるから職場は介入しないと片付けることが継続して問題を発生させている仕組みだと考察する。

職場の人間関係は生産性に直結しており、企業の最重要課題であり、「仕事」であるとの認識が必要である。

⑵ 推移の分析
相談件数は右肩上がり。年間で9万件近い。この推移を単純に「昔は問題が少なかった」と捉えるべきではない。

見方によっては、元々、これだけの悩みがあったが、ようやく打ち明けられる雰囲気となり、明るみに出て数字化された可能性がある。
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⑶ 業種別メンタル不調
特に不調を起こしやすい業種が存在するということを認識しなければならない。そして、不調の原因はその業種内容と密接に関係している。

例えば、今や生活に欠かせない運輸業、これは最近のネット販売やコロナ禍での生活改変によって業務量が多くなったことに起因して労働時間が長くなり、メンタル不調の主な原因となっている。

また、特徴的なのは医療である。他業種と異なり、悲惨な事故を目にしたなど精神に与えるショックが大きい業種ならではだと分かる。

他に、教育業には人間関係により起こるいじめが原因とされている。ただ、これも教育業種の内容にいじめを引き起こす原因の根本が存在する。何れにしても、ビジネスモデルを根底から見直さない限り、解決は難しいということが分かり、個々の問題などではないことが分かる。
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⑷ 職種別にみる自殺
自殺に関して、職種別で確認すると、技術職が亡くなる割合が多い。
世間的には、中間管理職といったイメージがあるのではないか。確かに2位にランクインしてはいるが、グラフ化してみると圧倒的な差をつけて1位に技術職がいることが分かる。

技術職には過酷な職種である医療従事者が含まれること、そして、技術者はその技術力ゆえに他の職員と隔離されがちになったり、その人しかできない仕事が全部降ってきたりと職場が個々人頼りであり、チームワークで問題を解決しようという発想が少ない可能性を考慮すべきである。

また、自殺で亡くなった方が医療機関で受診していたかを数字で見る。すると、なんと半数以上の方が受診していないことが分かる。考察となるが、精神科に行くということに抵抗があったり、自身がどのような状態になったら精神科に行くべきかといった情報が世の中に浸透していないからではないかと考える。

ちなみに、自殺される方の多くはその精神病が発症してから29日以内に自殺される場合が圧倒的に多いため、不調になった場合、一刻も早く医療機関に行かなければならないことも分かる。
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2 国家公務員における労働状況
⑴ 公務員のいま
公務員白書では、3つのテーマにまとめたが、本論に沿うテーマ2件「職員の状況」及び「苦情相談からみる職場の風通し」について記述する。
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⑵ 公務員は安定?数字で見るその状況について(離職率)
ここからは、職員の状況について話す。
よく「公務員は安定」と言われるが、安定=離職率の低さとするならば、数字からいえば間違ってはいない。

日本全国の正社員の平均離職率が約12%である一方、国家公務員の離職率は約6%であるので、辞めていく人の平均の半分しか辞めていないことになる。

さらに、下記グラフのオレンジ色の部分がここ数年減っているが、これは女性の離職者が減っていることを示す。

なお、女性採用は近年、一層増えており、今では半数近く女性を採用するようになっている。その中での女性離職者が減っているため、女性公務員が定着しているのかもしれない。
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⑶ 若手職員への意識アンケート
コロナショック前までは好景気が続いていたこともあるだろうが、なにより世の中の仕組みが変わり、人々の働き方が多様化してきている。そのよう中で、昔は「公務員になったら一生安泰」といった考えの変化が窺える興味深い調査結果があった。

人事院が30代の公務員に意識調査を実施した。質問は「人生100年時代に向けて今から何が必要と考えますか」というものである。この質問に対して、複数回答できる形で答えてもらったところ、最も多い答えが「公務外でも通用する知識・技能の習得」次に「人的ネットワークづくり」であった。

これらはいずれも、公務員としての職場だけでなく、その外で働く可能性を見込んでいる、又は役所以外の世界で活躍したいなどといった従来とは違う多様な考え方に基づいている可能性がある。

なお、過去に行ったアンケートでは公務員としての仕事をプライベートより優先する、といった現在とは逆の回答があったため、意識の変化が分かる。
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⑷ 苦情相談からみる職場の風通し
下記棒グラフをご覧願う。平成29〜30年度の1年間で急激に苦情件数が増えていることがわかる。
 
公務員という職場自体が働きやすいというイメージがあり、その上、昨今の働き方改革やハラスメント防止の流れで、苦情は減っていそうなものであるが、直近は急増しているのが現状である。

なお、苦情相談の内訳は下記スライドの円グラフであるが、主に「パワハラ」と「服務(残業が多過ぎるとか)」に関するものである。

そして、個人的にこの話の問題が深刻だと思う点は、この苦情相談は人事院に対して行う相談だということです。規則として、各役所に苦情相談の窓口が設置されており、各役所で基本的には解決する建て付けとなっている。

しかし、このように、自身の役所ではなく、人事院に対して相談が行われているということは、それだけ職場の風通しが悪いという可能性がある。
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⑸ 役所で働いて死ぬことについて(市民「ブラック企業は分かるけど」)
この表の自殺は「災害による自殺」つまり、役所で働く事で自殺に追い込まれた人の数と自殺率が書かれている。

結論から言うと、自殺率は他の仕事と変わらない。これは、見方によっては、楽だと思われている公務員なのに自殺者が相当数いる、といったことを示す数字だと言えると思料する。
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⑹ 公務員の精神病による休職〜見て見ぬ振り〜
最後に、職場のストレスなどによって休職している公務員についてみてみよう。パーセンテージでは約1.4%とこの数字だけをみても大小の判断がつかないと思うが、少なくとも傾向としてはここ3年度において増加しつづけている。

また、100人いれば1人は休みつづけている人がいると考えれば、役所1つで出先の事務所もあわせれば100人は超えるであろうから、常に誰かは休んでいることになろう。

加えて、筆者個人としてはたった1人でも、「誰かのせいによる望まない精神病を負わされた人間」が確実に”居る”のならば、自分がいる職場はそういう面、つまり職員を追いやるということもある、ということを意識して働くことが大切であると考える。
『私だけは大丈夫』『壊れた奴が弱かっただけ』と言う職員が存在することが悪しき風土情勢に繋がり、被害者又は加害者となる可能性が高まるためである。

なにより、そういったことに目をそらして働き続けることは、その行為自体が次の犠牲者を増やすことにつながる恐れがあり、即刻、辞めるべきである。
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 3 国家公務員の労働環境の改善について
   以上から、イメージを取り払い、課題を挙げる。

「他業種同様、心身に支障をきたし、死者も出ている」ということ。これにより、国づくりの施策実施に支障が出ていることは論を俟たないだろう。さらに、根本原因は2つあると分析する。

死傷病者の増加やアンケート結果が指すことは、①自身のスキルが応用できる自信がなく「どんな目に遭っても耐えて役所で生きていくしかない」と根拠無き洗脳状態となっていること及び②国民の関心が低く、「公僕は潰れても仕方なし」「休職者の税金をなぜ払うのか」といった声があるため、労働環境の整備が後順位となる。事実、女性職員の割合を引き上げる一方、全体職員の減少が政府方針として決定している中、子育て等支援策のみを他職員ケアを考慮せずに画一的に実施することで生じた職員間の歪みである。これにより、複数公的団体において「潰れるのは当たり前、自分だけは助かろう」との風土が醸成されている(NPO団体「うぃるワーク金沢」労働相談より。個別相談内容は非公開)。

解決方法は、上述の目的達成に対して、課題をどう捉えるかが鍵となる。
結論から言えば、実はシンプルであり、①(特別なことではなく)民間同様の環境整備及び②マインドセット、具体的には風土情勢である。

まず、①は単に官公庁にも適用すれば良い。ここで、人事院も同様の規則改定をしている、との声が上がるが、現場では闇テレワークによるサービス残業が生じるなど「官公庁は仕方ない」といった「内」外の声に対して理論立てて説得する必要がある。これこそが肝である。

②に関しては風土の話であるため、多額の予算が不要な精神的な(或いは社会人間学的な)話であり、人事設計や研修が手法となる。

これらから見えてくるものは、問題は深刻であるが、課題は政府自身が産み出した実態なき風土によるものということである。風土醸成に近道はなく、地道に継続することが大切。時間は要するが、資金不足や他国の関与、物理的問題では無いため、不可能ではない。退職率の低さ・同じ同僚と過ごし続ける状況を逆手に活かした手法詳細として、先導するリーダーが各組織ごと・部署ごとに設置され、彼らによる啓発があれば一層推進されるであろう。
本文、以上。

【出典】
・人事院「公務員白書」
・厚生労働省「自殺対策白書」
・任意団体うぃるわーく金沢、https://kanazawa-sdgs.jp/partners/will-work-kanazawa/

【添書き】
 筆者が代表を務める団体「うぃるわーく金沢」が過去に分析した結果を使用させていただいております。使用にあたっては、当団体の定款等規則に則り了承を得ている旨申し添えます。

【追補】
 今般、数値を分析・傾向し、私的見解をもって述べたに過ぎない。
したがって、ご覧になった方々は各自が考えを抱いてもらい構わない。むしろ、国民が施策の実施者に思考を巡らせることこそが至極重要である。
某省において、「俺は殴られたことがある」と自慢したり、個室で殴る、トイレで水をかける、「死ね」等の暴言を吐く者・許す環境を解消させる。そして、財務省地方課にて把握している「財務本性を除いたとしても、地方支分部局で毎年、ハラスメントによる自殺者が1名以上出ている」事態を消滅させる。
これにより、これ以上同僚を失う事案を無くす方法であり、せっかくの練磨された政策が実施不十分となることなく、民が豊かになる国づくりに繋がるのだと元財務事務官である筆者は確信している。


以上。